ホラーゲームレビューの部屋


SIREN

 

 

それぞれ別の目的をもって怪しい村にやってきた主人公とその他の人々が、異常な事態になっている村から脱出を目指す・・・
こんな感じのストーリー。
舞台は日本。スニーク(ステルス)。和物ホラー。クトゥルフ。

ちょっとプレイしただけだとゾンビものに見えるが、最後までやってみるとクトゥルフの影響が強いかなと思う。
ストーリーや設定は、かなり念入りに作りこまれている印象。

ステルスゲームとしては、こういうのもありかと思う。
ホラーゲームとしては、微妙なゲームかもしれない。
長所もあるが、短所も結構ある。

システム的にはバイオハザードなどの三人称視点のゲームと同じ。
しかし、バイオハザードとはまったく味付けが違う。
このSIRENの場合、基本的には主人公たちは弱く、敵のゾンビ(屍人)はザコでも強いため、なるべく敵に見つからないように、スニークで進める必要がある。
メタルギアソリッドとか、ヒットマンみたいなもん。
バイオハザードのように、強力な武器を手に入れて、敵をガンガン片付けていくという爽快感あるプレイは不可能。
最初から拳銃を持っているキャラでも、調子に乗って撃ちまくっていると、そのうち弾切れ。

マップはあるが、見ても現在位置は表示されない。
プレイヤーキャラのひ弱さは、リアル系FPSゲームのよう。
そういうところでリアリティーを追求しているのに、なぜか拳銃やライフルを持った敵が多数。田舎の村なのに。
戦場じゃないんだから。
スナイパー屍人はチート級。

さらに、倒した敵の武器を回収できない。
ライフル持ってる敵を倒しても、それを自分が使うことはできない。
銃を持ってる敵を倒しても、弾薬も回収できない。
そもそも操作するキャラによっては、逃げ一辺倒のプレイを要求されることも多い。

死亡覚悟で建物などを偵察し(この段階で数回は死亡)、そのマップのことがだいだいわかったら、アイテムなどをうまく回収できるルートを考えてクリアを目指す・・・こういう流れ。

この何回も死亡しないとわからないというのが面倒で、嫌になる人が多そう。

ある程度ゲームを進めていくと、シナリオセレクトという機能が開放されて、かなり楽になる。
そのあたりまでいくと、このゲームの不愉快なシステムにも慣れてきて、それなりに面白く感じてくる。
最初は難易度が高いかなと感じていたのに、そうでもなくなってくる。

しかし、そこまで我慢強く続けられない人も多いと思う。

いろいろ面倒くさいため、せっかくのホラーゲーム的な恐怖感をスポイルしてしまっている。
知っていれば簡単にクリアできるステージでも、調べるために何回も死ななければならない。
何回もやり直しをしているうちに慣れてきて、恐怖感がなくなってしまう。
そこまでいくと、普通の謎解きアクションアドベンチャーゲームになる。
そういう冷めた目で屍人を観察すると、なんだか屍人の動きがコントのような感じさえしてくる。
志村もいるし。志村、猟銃を構えるアクション遅すぎ。志村、うしろうしろ・・・

まあ恐怖感の感じ方は個人差があるかもしれないが、上記のような傾向はあると思う。

謎解きについても、あるキャラの行動が他のキャラのシナリオに影響を及ぼしたりするのだが、ちょっと不自然なものもある。
重要な場所へ行くとカメラが切り替わったりする(バイオハザードだったらアイテムが光ってるような状況)が
SIRENの場合、これはわからんだろうとか、なんでそこでこんな行動を?というようなものが多い。

別のキャラでクリアした時に、ドアの鍵を開けておかなかったために、ドアがどうやっても開かなかったり。
こういう場合、結局同じステージをやり直すはめになる。

最初は、これは恐そうだと好印象だったが、ゲームを進めるにつれて、理不尽な死に方だったり、同じところを何回もやらされたり。
リアリティー重視しているようでいて、不自然なところを見つけたり。
そうこうしているうちに、ゲームのシステムや設定にイライラし始めて、恐さによるストレスより、違う意味でストレスになってきてしまう。

このSIRENの楽しみ方としては、一つのステージにゆっくり時間をかけて、少しずつプレイしていくというのが正しいのかもしれない。
でもそんなに時間をかけられる人も多くないだろうから、 結局、攻略サイトやら攻略本やらにお世話になる人が多そう。

昔のアローン・イン・ザ・ダークとかに比べれば、SIRENのほうが親切であるとは思う。シナリオも悪くない。
しかし 、もうちょっといろんな人を想定して、ゲームバランスを考えてほしかった作品。
あえてこういうセッティングにしたのだろうが、 謎解きもアクションも、はまれる人を限定してしまっている。
システムや操作性に慣れるまでプレイし続けると、結構面白くなってくるのに、残念。
やる人を選ぶ印象。

自分の場合はストーリーの展開が気になって、すべてクリアするまでプレイした。
すべてクリアしても、はっきりしない事実や設定が残った。
「あ〜はっはっはっは〜」だけは、もう聞きたくない。

ステルスゲームが好きだという人、ゲームにじっくりゆっくり時間をかけられる人、忍耐力に自信がある人、Mっ気がある人などにおすすめ。


 

 


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